| 村上祥子の大発明 電子レンジ発酵パン
「よくある質問」Q&A 20
NO.1
Q.なぜ、生地をこねなくていいのですか?
なぜ、電子レンジでパン生地が発酵するのですか?
A.
電子レンジでパン生地が発酵できるポイントは、生地を混ぜないことにあるのです。
原理はこうです。
小麦粉の成分は、主にタンパク質とデンプンと糖類。
そこへ水とイーストを加えて混ぜます。
全体に混ざった程度で、電子レンジに入れて弱(150~200W)で30秒かけます。
たったこれだけで、一次発酵が終了。
電子レンジの中で何が起こっているかというと、生地に電磁波の軽い刺激があたり、水分がタンパク質にもデンプンや糖類のほうにもジリジリとしみわたっていき、眠っていたイーストが生地の熱(37℃)で目を覚まし、発酵活動を始めます。
デンプンに水がしみわたったことで、小麦粉が本来もっている糖化酵素アミラーゼの力で分解を始め、できたブドウ糖や麦芽糖、その他の糖類をエサにして、活動を開始。
糖は二酸化炭素と水に分解。
この二酸化炭素がパンのふくらみのもとになるガス。
一方でグルテニンとグリアジンという二種の小麦タンパクが水と結合して、生麩の原料・グルテンという組織を作り、これが二酸化炭素のガスで膨張。
あとはガス抜きや成形などパン作りに必要な作業を行い、オーブンで焼き上げると、グルテンとデンプンも熱で固まってパンができ上がるという仕組み。
従来2時間30分から3時間かかっていたパン作りが、40分から1時間にスピードアップに貢献したのが、こねないことと、電子レンジを使った発酵なのです。
時間短縮のためにこねないのではなく、こねない生地だから電子レンジで発酵ができるということ。
これを理解してもらうため、メールや電話の対応におわれっぱなし。
従来の製法のようになめらかになるまで生地をこね上げた場合、水分はグルテン膜内部に取りこまれ、イーストの増殖のエサになるブドウ糖や麦芽糖を酵素が分解して作るための水がデンプンに不足するのです。
何万回もやっているうちに、発明の原理がみえてきた!ということでしょうか。
NO.2
Q.パンがふくらみません。
焼いたときはふわふわですが、冷めるとかたくなってしまいます。
上手につくるには?
A.次のポイントをチェックしてみてください。
ふっくらさせるには、
1.まず、生地の混ぜ方だとおもいます。
プルンと弾力がでるほど、まとまってしまっていませんか。
粉と水分がやっと混ざったていどがよいのです。
2.強力粉はメーカーによって、加える水分の量がちがってきます。
Nippnゴールデンヨット 牛乳75ml
国産ハルユタカ 牛乳65ml
日清カメリア 牛乳85ml
ベストの水分量です。
3.(1)(2)の他に注意することは、生地のふくらみについてです。
留意点は、次の3点です。
[1]一次発酵、二次発酵したあとのベンチタイムを10分→20分に増やしてみて下さい。
このときに、生地を十分ふくらませてやります。
[2]ベンチタイムのあと、3本の指で押さえてガス抜きをします。
丸めなおしたり、ロールパンに成形したりします。
このガス抜きは十分(でも静かに押さえて)できていますか?
炭酸ガスを抜くと、あたらしく酸素が入り、イーストがさらに働きます。
[3]ベンチタイムのとき、パン生地を温かい場所において下さい。
焼く準備のためにオーブンを予熱しているときは、その上や近所に。
4.オーブンに入れてすぐ焼き色がつくようでしたら、
温度を200℃→180℃に下げて下さい。
そうすると、オーブンに入れたあともさらにふくらんでカッコよく焼けると思います。
NO.3
Q.うまくふくらみません。イーストが古いのですが…。
A.
ドライイーストは、未開封は影響なし、と考えていましたが、先日、福岡のクラスでスーパーより求めたばかりのイーストを開けてつくったら、その分だけは全くふくらまず、生徒さんの前で冷や汗をかきました。
もう一箱あけて作ったらうまくいったのです。
だから未開封のイーストでも、製造年月日の古いものはよした方がよいかと思います。
NO.4
Q.2つ心配ごとの質問です。
1. 電子レンジで発酵させて、体にはいいのでしょうか?
2. 電子レンジに金属型、ホントに大丈夫?
A.
1. 酵母なんて人間よりよほど弱い生き物です。
それがピンピン増殖するのですから大丈夫です。
私は、20年もそのパンを食べていますけど…。
2. 電子レンジってスチールで内張りをした調理器具なのです。
だから電磁波が外に飛び出さない仕掛けになっているのです。
そこで、電子レンジに金属型を入れてもよいのですが、パン生地を金属型に入れて電子レンジにかけると、底と側面は電磁波がきかないのです。
電磁波があたるのは上側からだけなので、生地発酵にとっては効率が悪いことになります。
そこで電子レンジ弱キーにかけるとき、倍の時間に延長しているのです。
金属型といっても、アルミホイルの簡便ケースレベルに留めたほうがよいようです。
私の経験からすると、イギリス食パンを焼く厚手の金属型の場合は、電子レンジ弱で発酵させたあとも、温かい場所に20〜30分おいて時間をかけてふくらませてから焼いたほうが素敵にできあがります。
NO.5
Q.電子レンジに弱キーがありません。
A.
「あたため」と「解凍」がありませんか?
それが強と弱になります。
もしそれもなくても、あきらめなくて大丈夫と思います。
パン生地を作ったら、500Wで15秒加熱してください。
電子レンジパン発酵の場合は、正確には加熱ではなく、1秒間に24億5千万回という電界の向きがかわることで、パン酵母にバイブレーションを与えているのです。
弱キー(150,170,200W)は、500Wの1/3出力にあたります。
大体15秒かけたら、できるはずです。15秒をおたくで計る機器がなければ、1,2,3,・・・・10と口で数えてはいかがでしょう。
10秒ボタンを2回おして、あと5秒あまっているときにストップしてとり出す方法でも。
私の電子レンジ、各メーカーのものいろいろ買いもとめて10台使っていますが、残念ながら500Wスイッチのみタイプは持ちあわせておりません。
それでも自信をもっておこたえできるのは、U.S.AのWebsiteを展開しているのですが、Let's study the New Microwave Oven Cookingの中で、Sachi'sspecialBreadというコーナーがあります。
アメリカの1200W出力電子レンジ(これが一般的なタイプなのです)で作るときは、パン生地を10秒だけかけると上手に発酵します。
理論的には1200Wは5秒かければよいはずですが、これでは少々発酵が不足。
はじめの5秒間は、電磁波を出すための空回り時間のようです。
NO.6
Q.オーブンレンジについている発酵キーとのちがいは?
A.
発酵キーは発酵適温に庫内を温める機能。
電磁波のイースト発酵とは原理的にちがいますので、おまちがえないように。
NO.7
Q.パン生地は、一度に2倍作りたいのですが。
A.
はい。一般の生地は2倍量作成で大丈夫です。
はしで混ぜるパン生地作りの適量をいろいろためしてみましたが、3倍が上限かなと思います。
強力粉を2倍にすれば、その他の材料も倍にして下さい。
牛乳の温めは、材料が2倍になれば時間も2倍になります。
要は、人肌程度に温まればOKです。
発酵時間は、生地が2倍になっても3倍になっても30秒です。
材料が多くなれば、容器も大きくした方が混ぜやすいです。
3倍の量を作るときは、一次発酵して、まな板に取り出したあと、指先で生地を軽くまとめる(こねるほどではありませんが)ようにしています。
ただしクロワッサン生地の場合は、2倍量作ると大幅に時間がかかることになります。なぜならば、量がすくないからこそ、村上祥子流にクロワッサンの生地をたてつづけに3回3つ折りできるのです。
2倍量作るときも、100gの小麦粉の1単位ずつお作りになったほうが、できがよいし早いと思います。
NO.8
Q.材料を混ぜるボウルは耐熱樹脂加工でないとダメですか?
A.
耐熱ガラス製のボウルなど、電子レンジに使える容器なら大丈夫。
どんぶりでも作れます。
ただ、私が何度も繰り返して作るなかで、いちばん使いやすかったのがこの直径15cmのジップロックコンテナー(r)丸大という耐熱樹脂ボウルです。
100gという粉の分量にあった大きさで、混ぜやすい深さと口径。
軽いので力のない子どもやお年寄りでも手軽に扱えるところが気に入っています。
また生地がつきにくいので、ロスが少ない。
箸で持ち上げて固さをチェックするのも簡単です。
耐熱ガラス製のボウルなど使うときは、ゴムべらで生地をはがしたり、レンジに入れるときにクッキングシートを下に敷くなどするとよいでしょう。
NO.9
Q.オーブントースターでも焼けますか?
A.
食パンのようにこんもりと高さのあるものを除けば、まずオーブントースターで焼けないものはありません。
ただし熱源が近く、焦げやすいので注意して。
天板にアルミホイルを敷き、油を薄く塗って生地がくっつかないようにします。
市販されているシリコン樹脂で加工したアルミ箔(旭化成フライパンクックパー)を使えば、油は不要。
生地を並べ、アルミ箔を二つ折にしてかぶせます。
温度やW数の表示があれば、いちばん低いところに合わせましょう。
160℃又は450Wで15分ぐらいが目安です。
また、一次発酵のあとや、二次発酵のあとは、生地を休ませる時間を長めにします。
10分のところを20分にして、十分にふくらませてから焼くと、ふっくらと焼き上がります。
NO.10
Q.焼き上げたパンorパン生地を冷凍したいのですが。
A.
保存は冷凍が一番です。
方法は次の通りです。
一次発酵後、10分ねかせて成形し、ただちに冷凍して下さい。
バットは金属製をお使い下さい。
解凍は電子レンジ弱加熱キーを使って、冷凍パン生地100gにつき、2分かけます。
ということは食べたいときに食べたいだけであれば、4個にわけたときは1個につき、弱キー1分かける。
6個に分けたときは、40秒を目安にします。
今回の生地は200gですから、全部一緒に解凍と二次発酵するのであれば、4個にわけようと6個にしようと、皿にクッキングシートをしいた上に中央をあけて冷凍パン生地を並べ、ラップをかけずに電子レンジ弱に4分かけて、解凍と発酵を同時にします。
そのあと、ぬらしたペーパーをかけて、室温に20分、2倍にふくらむまでおきます。
そして、180℃に温めたオーブンで焼きます。
室温解凍より電子レンジを使って解凍と発酵をする方が生地の味ははるかによいです。
揚げる場合は、室温におかずに解凍したらすぐ、低温の油で揚げはじめます。
大変うまくいきます。
焼き上げたパンを、冷ましてポリ袋に入れて冷凍することもできます。
解凍は1個につき電子レンジ強で10〜20秒です。
さらに電子レンジで10秒加熱プラスすれば、アツアツパンになります。
食パンは冷凍のまま、オーブントースターで焼いています。
NO.11
Q.ピッツァの冷凍の仕方
A.
私の方法です。
ピッツァ生地は生の状態で、上にトッピングをして冷凍します。
息子たちが家にいたころは、ピッツァが大好物でしたので、アルミホイルのパイ皿に10枚も15枚も焼く直前まで仕上げをしてから、冷凍しておりました。
解凍はアルミホイル皿にのせたまま、ラップはかけずにピッツァ1枚につき電子レンジ弱4〜6分かけます。
そのあと取り出して、室温に10〜20分おいて、あとはオーブンの上段で200〜220℃で表面がきつね色になるまで焼き上げます。
NO.12
Q.生イーストや天然酵母でも作れますか?
A.
イーストに弱い刺激を与えて活性化させるという原理からすれば、可能なのです。
電子レンジ発酵パンの本を出版して以来、天然酵母についての質問があまりに多いので、ムラカミでもどんどん研究をすすめましたら、天然酵母でもスタートしてから約1時間20分で焼き上がることがわかってきました。
生イーストの場合は、うまく扱えば約1時間で焼き上がります。
2003年5月1日に村上祥子著「ムラカミ天然酵母パン」(家の光協会)を出版します。
興味のある方は、その本をご覧になってください。
NO.13
Q.一次発酵させた生地がベトついてうまく丸められません
A.
このレシピはふつうのパン生地に比べて水分が多めで、やわらかいのが特徴です。
が、うまくまとまらないほどベトつくとしたら、小麦粉のせいではないかと思います。
メーカーをたしかめて、Q&A NO.2を再チェックしてみて下さい。
NO.14
Q.イースト臭が気になります。量を減らしてもいいですか?
A.
イーストはふつうのパン生地よりは多めです。
初心者でも子どもでもカンタンにパン作りが楽しめるように考えたからです。
それにしても、イースト臭が気になるというのは少々問題です。
どこか発酵が十分におこなわれていないせいだと思います。
G&A NO.1・2で、再チェックしてみて下さい。
もし、イーストの量を減らすときは、半分まで減らしてみてもOKです。
そのときは、休ませる時間を10分→20分と長めにします。
NO.15
Q.これまで作ってきたパン生地の配合でも電子レンジで発酵できますか?
A.
おそらくムリでしょう。一般のパン生地は粉100gに対して水62ccを加えて作りますが、これでは水分が少なすぎて、電子レンジで発酵がスムーズにいきません。
私も何度も失敗をくり返して、やっとたどりついたのが粉100gに水分75ccの、このレシピ。
レンジ発酵なら、この配合がおすすめです。
NO.16
Q.砂糖を減らしてもいいですか?
A.
初心者の方でも子どもでも、パンがカンタンに作れるように、砂糖の量をふやしています。
砂糖はイーストの栄養源、つまりエサになってくれるので、小麦粉100gに大さじ1の砂糖を加えたほうが、発酵しやすく、ふくらみもよくなります。
パンの甘さが気になり、砂糖を減らす場合は、生地を休ませる時間10分を20分に延長し、よくふくらませてから、焼いてください。
NO.17
Q.コクのあるパンが大好き。バターを少し増やしてもいいですか?
A.
生地に含まれる油脂分が増えると、イーストの発酵能力が低下して、ふくらみにくくなります。
バターを増やしたいときは、牛乳の量を減らし、生地を休ませる時間を長めにします。
例えばバター10gを40gに増やしたら、牛乳75ccを30ccに減らし、電子レンジで溶かしたあと、小麦粉を加えたら、箸でなめらかになるまで混ぜます。
電子レンジ弱で30秒一次発酵させて、休ませる時間を20分に延長します。
二次発酵も同様にします。
NO.18
Q.子どもが乳製品アレルギーで牛乳が使えません
卵アレルギーなのですがメロンパンは作れますか?
A.
乳製品アレルギーの場合、バターも使えませんね。
でも大丈夫。
牛乳は水に、バターはサラダ油やオリーブオイルなどに代えて作れます。
それぞれ分量は同じです。
大豆アレルギーでなければ、豆乳を使えば風味よく仕上がります。
水を使うときも、油を加えて電子レンジで人肌に温めてから粉などの材料と混ぜます。
メロンパンのクッキー生地の卵を同重量の豆乳にかえると、みごとにできあがります。
NO.19
Q.全粒粉やライ麦粉だけでもパンを作れますか?
A.
100%全粒粉やライ麦粉だけでは、正直言って、電子レンジ発酵パンはむずかしいです。
小麦を皮つきのままひいている全粒粉は、皮や胚芽が含まれるのでグルテンが形成されにくく、ふくらみにくいのが特徴。また、ライ麦粉に含まれるタンパク質はねばりがなく、酸性にならないとグルテンが形成されません。
そこで乳酸発酵という方法をとったり、発酵や焼くときに24時間ずつかけて作ったりしています。
電子レンジで発酵でこれらの粉の風味を生かしたパンを焼く場合は、強力粉と混ぜて作っています。
割合は全粒粉またはライ麦粉30gに強力粉70g。
ふくらみが悪いときは、休ませる時間を延長させます。
NO.20
Q.バターをオリーブオイルに代えてもいいですか?
A.
もちろんOKです。
バターはグルテンののびをよくし、生地をなめらかにします。
バター以外の油脂でも同じ働きをしますから、オリーブオイルに代えても大丈夫。
私はピザやフォカッチャなどは、オリーブオイルを使っています。
分量はバターと同じで8g、小さじ2。
サラダ油やマーガリンでも同様です。 |